「防災は社会を明るくする!」
 ”災害”は、生活の全てに影響を及ぼします。
 ”防災”は、それらの影響を防ぎ、軽減するために行う営みです。
 つまり、”防災”は、生活の全てに対して行います。
 発想を変えれば、”防災”は生活の全てを豊かに、そして、明るくするチャンスを持っているということです。

2016年11月18日金曜日

我が国の「防災」は、このレベルで十分なのか?



こんばんは。
防災アドバイザーの小野です。


災害って、日常生活から考えると異常な状態ですから、毎日のようにその異常な状態に向き合っていると、気が滅入ってしまいそうな時があります。そして、時々、何もしたくなくなる時があります。


ですが、それと同時に、あまりにも防災対策のレベルが低すぎて、「焦り」や「危機感」も感じます。


その「焦り」や「危機感」が、私を動かすキッカケになっており、かろうじて継続できているんだろう、と思います。


もちろん、一つ一つのお仕事には大きなやりがいを感じますので、それが一番のエネルギーであることには間違いありませんが……


ところで、つい最近感じた「焦り」や「危機感」について少しお話します。


先月、10月29日(土)に、西東京市立けやき小学校にて、道徳地区公開講座での講演会をさせていただきました。
(→当日の模様はこちら。)


保護者や地域住民に加え、小学校5年生と6年生対象にお話しましたが、このお話の中で、「地震が起きたらどうする?」という質問をしてみました。


指名して答えてもらうと、「机の下に潜る」という答え。


続いて、その答えが正しいと思う人に手を挙げてもらうと、全員が手を挙げました。


次に、「いやいや、他の行動がいいよ」という人がいるかを聞いてみたところ、全員の手が一斉に下がりました。


まあ、これは私の予想どおり。


ですが、これではいけません!!!


・机の下に潜ろうとしたけれど、揺れで机が倒れてしまった。


・掃除の時間帯で、机が教室の隅に寄せられている。


・今の君たちのように体育館にいたり、廊下や校庭など、机のないところかもしれない。


・机はあるかもしれないが、ガラスの天板のテーブルや、薄い天板、細い脚のテーブル、背の低いローテーブルしか目の前になく、潜ったら危険だったり、そもそも潜ることのできるテーブルではないかもしれない。


こういう状況下で地震が発生することだってあり得ます。
むしろ、その確率の方が高いんです。


この後、講演会では、正しい身の守り方を教えましたが、「地震発生=机の下に潜る」というあまりにも強い固定概念しか持っていなければ、どのように行動していいかわからず、怪我をしたり、亡くなってしまうかもしれませんよね。


備えが不十分であれば、リビングで家具や家電が吹っ飛んでしまうことが考えられますから、ひょっとしたら、家具や家電が一杯あるリビングより、そういった危険の少ない廊下にいた方が安全な場合だってあります。


ですが、そこまでの防災教育すらできていないと思いませんか?


それは、学校においても、家庭においても、地域においても、職場においても、です。


私は地震発生時の行動として、まずは2つのポイントを理解していれば、そこから応用は十分にできると考えていますが、その話はまた後日!!


防災アドバイザー 小野修平

2016年11月17日木曜日

避難所支援でやり残したこと~その1~



こんばんは。
「無理をしない防災」を提唱する防災アドバイザーの小野です。


夜道を歩きながら、「こんな時期に災害が起こったら、とにかく毛布があちこちで必要になるだろうなぁ」と思いながら、先程帰宅しました。


さて、本日は熊本地震における支援で、「あの時こうしていれば…」と後悔していることの一つをお話したいと思います。


これまで熊本では三度の支援活動を行っており、年明けは少し長めの日程で行くつもりですが、5月に実施した「避難所運営支援」でのお話です。
この時の避難所運営支援では、避難所本部に入らせていただき、お手伝いをさせていただきました。


本部にいると、避難者の対応だけでなく、ボランティアや物資支援の申し出があったり、マスコミの対応をしたり、様々な方々との対応を求められますが、この中で、「専門家チーム」の対応もあります。


「専門家チーム」とは、同じ専門職の方や近い領域の専門職の方が数人でチームを編成し、避難所を巡回しながら、ヒアリングを行ったり、支援をしたりします。


私が対応しただけでも、医師、看護師、理学療法士、栄養士、警察官、消防官などの専門職がいましたが、その中で、〔歯科医師・歯科衛生士・看護師〕の合同チームも巡回してきました。


このチームの巡回理由は、”歯のことで困っている方がいないか”、ということを確認し、必要に応じて支援するというものでしたが、私も食事時間帯を中心に避難者とはコミュニケーションを取りつつも、歯のことについてまではあまり把握できていませんでした。


しかし、その中でも一人だけ、「歯磨き粉がないから、あったら欲しいんだけど…」という方がいらっしゃったことは確認していました。


ということで、そのことを相談してみたところ、歯ブラシと歯磨き粉を10セットくらいいただけました。


ですが、ここで一つ後悔していることが……


確かに、バタバタしている本部運営の中で、歯磨き粉がほしい、というニーズを、タイミングよく巡回してきた専門家チームに相談でき、このニーズを解決できたことは良かったんです。


しかし、なぜ、〔歯科医師・歯科衛生士・看護師〕がチームを編成して、巡回しているのでしょうか?


それは、歯の健康を保たなければ、健康的にも影響が生じ、下手すれば病気になったり、場合によっては亡くなってしまうリスクもあるからです。


歯科の世界では、『災害時の口腔ケア』が大きなテーマの一つでもあるくらいです。


そう考えれば、専門家チームが、「歯のことで困っている方はいませんか?」と巡回してきた際に私がやるべきだったことは次の2つです。


(1)専門家チームの連絡先やニーズがあった際の相談先を聞くこと。


(2)避難者に歯のことで困っていることがないかを何らかの方法で確認し、もしニーズがあれば専門職に繋ぐこと。


「災害時だから…」とか、「歯のことは後回しでいい」という発想は間違いで、そこが落とし穴になって、健康を害することだって有りうるんです。


私はプロなのにも関わらず、避難者の皆さんが全員歯ブラシを持っているのかも確認できずに帰ってきてしまいましたが、その場で上記の2つができなかったことに今でも後悔しています。


私は、避難所運営で最も大切なことは、「何をするか、何ができるか」だと思います。


命や暮らしを守るためには、過去の教訓を生かし、できる範囲で、できることをやるのが重要です。


これも一つの教訓ですが、防災のプロとして、引き続き頑張りたいと思います。


防災アドバイザー 小野修平


2016年11月16日水曜日

日本は災害列島なのか?



皆様、こんばんは。
防災アドバイザーの小野修平です。


マンション自治会から、防災コンサルタントの依頼があった関係で、インプットのために、マンションにおける防災対策の本を読み直しているんですが……


その本の「はじめに」の冒頭に、『日本は災害列島』というタイトルが付けられ、我が国は世界と比較して、地震が多いということが書かれていました。


たしかに日本は世界と比べて地震が多いのは確かなので、話の内容については問題ないのですが、『日本は災害列島』というタイトルに対して、疑問というか、何とも言えない感情を抱きます。


この言葉は、防災の書籍やマニュアル、リーフレットなどを読んでみると、よく書かれていますね。


でも、もちろん地震や火山噴火は「自然現象」なので防ぐことはできませんが、それに伴って発生する「災害」は備えをしていれば、ある程度は防げます。


しかし、日本は社会が急速に発展してきた中で、防災対策が追い付いていないのが現状です。
過去の災害で教訓が得られているのにも関わらず、それが他の地域に波及していかないんです。
だから、同じような被害がまたどこかで起きてしまうのでしょう。


そう考えれば、確かに日本は『災害列島』なのかもしれません。


しかし、教訓はたくさん得られているのですから、それを色んな地域で生かし、これまで以上に本気を出して防災対策をする必要があります。


そうすれば、被害は大きく減らすことができるはずです。


そして、『日本は災害列島』、『日本は災害大国』という言葉は死語にしませんか?


一人ひとりが本気を出し、「災害」の被害を減らすために、防災対策に取り組んでほしいな、と改めて思います。


私も頑張らねば・・・!


ジョージ防災研究所代表 防災アドバイザー 小野修平

2016年11月7日月曜日

学校の先生になるには「学校安全」の科目が必須に!



どうも!防災アドバイザーの小野です。
本日は、教育分野での防災について、記事を書きたいと思います。


もし、アナタが学校の先生になりたいならば…


まずは、教員養成課程のある大学に入学し、必要な単位を
取得することが求められます。


ですが、現在、必修科目として、災害対応などの学校安全を
学ぶ科目が設定されていないのです!!


学校というのは、子供達の命を預かる場


それなのにも関わらず、防災をはじめとした、学校での安全に
関する学びは、必修では無いんです!


ですので、学校安全を必修で教えている教員養成課程は
ほぼありません。(ほんの一部の大学で教えています)


しかし、やっとのことで、先日こんな明るいニュースが報じられました。


文部科学省は、大学の教員養成課程の必修科目の中で、 
災害発生時などの学校の安全確保や対応について学ばせる 
方針を決めた。(読売新聞/2016年10月27日) 
http://www.yomiuri.co.jp/national/20161027-OYT1T50008.html


これは、日本という国にとって、とてもとても大きな一歩です。


文部科学省としては、2019年度からの導入を目指し、
具体的なカリキュラムは各大学で作っていくとのことです。


しかし、これはこれで、懸念していることがあります。


現在、教育界では少しずつ、学校安全に関する取り組みが
進められつつありますが、その取り組みが、逆に命を脅かす
危険性があるという事実に、現場の方々が気が付いていない
ケースが多くみられるのです。


たしか、大学だけでも800以上の教員養成課程設置大学が
あったかと記憶していますが、命がかかっている科目だからこそ、
各大学本気で取り組んでいただきたいと感じています。


それぞれの大学で、どういった方々が教えることになるか、
それはバラバラだと思いますが、例えば現状の避難訓練でさえ、
改善点だらけなのですから、そういった改善点も理解せずに
教師の卵に「学校安全」を教えてほしくないと思います。


私としては、これから教員養成課程のある大学のいくつかには
何かしらのアプローチをかけようとは思っていますが、この科目が
形だけのものだったり、見切り発車にならないことを願うばかりです。


この記事では、具体的な話に踏み込めていないのですが、
必修化が決定した現段階で抱いている危機感を示しておきたかった
ので、記事にしました。


学校安全必修化については、引き続き、ブログでも書いて
いきたいと思います。


ジョージ防災研究所 代表 小野修平


※(参考)この件の報道記事
読売新聞「災害発生時の安全対応、必修に…教員養成課程で」
2016年10月27日(最終閲覧日:2016年11月7日)
http://www.yomiuri.co.jp/national/20161027-OYT1T50008.html

時事通信「「学校安全対応」を必修に=大学教職課程、19年度にも―文科省」
2016年10月26日(最終閲覧日:2016年11月7日)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161026-00000080-jij-pol