「防災は社会を明るくする!」
 ”災害”は、生活の全てに影響を及ぼします。
 ”防災”は、それらの影響を防ぎ、軽減するために行う営みです。
 つまり、”防災”は、生活の全てに対して行います。
 発想を変えれば、”防災”は生活の全てを豊かに、そして、明るくするチャンスを持っているということです。

2016年11月17日木曜日

避難所支援でやり残したこと~その1~



こんばんは。
「無理をしない防災」を提唱する防災アドバイザーの小野です。


夜道を歩きながら、「こんな時期に災害が起こったら、とにかく毛布があちこちで必要になるだろうなぁ」と思いながら、先程帰宅しました。


さて、本日は熊本地震における支援で、「あの時こうしていれば…」と後悔していることの一つをお話したいと思います。


これまで熊本では三度の支援活動を行っており、年明けは少し長めの日程で行くつもりですが、5月に実施した「避難所運営支援」でのお話です。
この時の避難所運営支援では、避難所本部に入らせていただき、お手伝いをさせていただきました。


本部にいると、避難者の対応だけでなく、ボランティアや物資支援の申し出があったり、マスコミの対応をしたり、様々な方々との対応を求められますが、この中で、「専門家チーム」の対応もあります。


「専門家チーム」とは、同じ専門職の方や近い領域の専門職の方が数人でチームを編成し、避難所を巡回しながら、ヒアリングを行ったり、支援をしたりします。


私が対応しただけでも、医師、看護師、理学療法士、栄養士、警察官、消防官などの専門職がいましたが、その中で、〔歯科医師・歯科衛生士・看護師〕の合同チームも巡回してきました。


このチームの巡回理由は、”歯のことで困っている方がいないか”、ということを確認し、必要に応じて支援するというものでしたが、私も食事時間帯を中心に避難者とはコミュニケーションを取りつつも、歯のことについてまではあまり把握できていませんでした。


しかし、その中でも一人だけ、「歯磨き粉がないから、あったら欲しいんだけど…」という方がいらっしゃったことは確認していました。


ということで、そのことを相談してみたところ、歯ブラシと歯磨き粉を10セットくらいいただけました。


ですが、ここで一つ後悔していることが……


確かに、バタバタしている本部運営の中で、歯磨き粉がほしい、というニーズを、タイミングよく巡回してきた専門家チームに相談でき、このニーズを解決できたことは良かったんです。


しかし、なぜ、〔歯科医師・歯科衛生士・看護師〕がチームを編成して、巡回しているのでしょうか?


それは、歯の健康を保たなければ、健康的にも影響が生じ、下手すれば病気になったり、場合によっては亡くなってしまうリスクもあるからです。


歯科の世界では、『災害時の口腔ケア』が大きなテーマの一つでもあるくらいです。


そう考えれば、専門家チームが、「歯のことで困っている方はいませんか?」と巡回してきた際に私がやるべきだったことは次の2つです。


(1)専門家チームの連絡先やニーズがあった際の相談先を聞くこと。


(2)避難者に歯のことで困っていることがないかを何らかの方法で確認し、もしニーズがあれば専門職に繋ぐこと。


「災害時だから…」とか、「歯のことは後回しでいい」という発想は間違いで、そこが落とし穴になって、健康を害することだって有りうるんです。


私はプロなのにも関わらず、避難者の皆さんが全員歯ブラシを持っているのかも確認できずに帰ってきてしまいましたが、その場で上記の2つができなかったことに今でも後悔しています。


私は、避難所運営で最も大切なことは、「何をするか、何ができるか」だと思います。


命や暮らしを守るためには、過去の教訓を生かし、できる範囲で、できることをやるのが重要です。


これも一つの教訓ですが、防災のプロとして、引き続き頑張りたいと思います。


防災アドバイザー 小野修平


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