「防災は社会を明るくする!」
 ”災害”は、生活の全てに影響を及ぼします。
 ”防災”は、それらの影響を防ぎ、軽減するために行う営みです。
 つまり、”防災”は、生活の全てに対して行います。
 発想を変えれば、”防災”は生活の全てを豊かに、そして、明るくするチャンスを持っているということです。

2018年2月19日月曜日

【取組報告】西東京市立柳沢中学校の防災教育②(HUG体験)



西東京市立柳沢中学校では、生徒への防災教育を熱心に行っております。
第1学年が1月31日の防災講話を踏まえて実施した、避難所運営を体験するゲーム「HUG」を見学・支援させていただきましたので、御報告いたします。

(★防災講話の模様は、こちら からご覧ください!!)

HUG(ハグ・避難所運営ゲーム)とは静岡県で開発されたゲームで、一人一人の避難者が1枚ずつのカードになっており、そのカードにはそれぞれの困りごとなどの情報が書かれています。それが次々へと読み上げられる(=避難してくる)ので、プレイヤーはそれを学校の図面上でどこに入ってもらうかを考えつつ、困りごとに対して対応をしていくゲームです。

このHUG体験を行うにあたり、昨年は私がグルグルと15班を回って、必要なタイミングで必要な問いかけを行いましたが、その存在を各班に固定で付けた方がいいということで、今回は「アドバイザリースタッフ」の導入をしていただけました。

直前に実施している防災講話の後に、集まれるメンバーでHUGを体験するとともに、必要な視点(=教えるのではなく、問いかける)を共有しました。






いよいよ、HUG本番の開始です。
今回のメイン講師である「田無スマイル大学」の富沢このみさんから説明とゲームの想定を提示された後、1組目の家族のカードが読まれました。






45分の間で、たくさんのカードが配られる中、8つの出来事も交えつつ、どの生徒も一生懸命取り組みました。






その後、各班ごとに振り返りシートを用いつつ、ゲームの振り返りをし、選ばれた6班が振り返りシートの発表を行いました。

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今回、2年目の取り組みとして、防災講話とHUGの支援をさせていただきましたが、避難してくる方々が抱える状況や課題に対して、とてもマイナスイメージの発言が多かった印象を受けました。

大人は機械的にカードを配置して終わり、という場合があるんですが、中学生は一人一人の避難者に丁寧な対応をしようと努力します。

しかし、昨年は「うつ病」を「うつる病」と捉えていた生徒もいたり、車椅子をステージ上に上げてしまったりといった行動が見られました。

そこで、様々な機会での教育や今回のアドバイザリースタッフの導入に繋がったわけですが、今回は「やばい人がきた!」という発言が目立っていたように感じます。

去年以上に、災害時に孤立しがちな方々の話に力を入れたつもりでしたが、その成果からか丁寧な対応が見られた一方、「かわいそうな人」「大変な人」「助けてあげなければならない人」という捉え方が多かったように思います。

実は、出来事の一つに「赤ちゃんが泣いて困っている人がいます」というものを急遽足してもらっていたのですが、外にテントを立てたりなど、どこかに追いやり、孤立させる対応が多かったように思います。

中にはキッズスペースを作るといった対応のように、同じ悩みを抱える方々を集め、安心できる居場所づくりを考えた班もありましたが、多くの班が「赤ちゃんの泣き声=迷惑」と捉えているかもしれない気がしました。

赤ちゃんは泣くものですし、それを迷惑だからテントに…なんて対応をしてしまえば、孤立させてしまいます。

よく、災害時で大変なんだから、とりあえず受け入れるだけ受け入れて、あとで一人一人に対応していけばいい、なんていう話が聞かれますが、それでは赤ちゃんを抱えている家族は、2時間もすれば迷惑を掛けると言って、避難所から出て行きます。そして、地域から孤立していきます。

対応に正解はないですが、ベストはあるはずです。

この経験を生かして、来年度の防災講話は具体的なエピソードを用いながら落とし込んでいかないといけないのかな、と思いました。


ですが、全体的には中学生一人一人が主体的に学び、考え、とても充実した学習になったと感じます。

引き続きお手伝いさせていただくわけですが、今後も柳沢中学校の取り組みを見守っていきたいと思います。

ジョージ防災研究所 防災アドバイザー 小野修平

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