「防災は社会を明るくする!」
 ”災害”は、生活の全てに影響を及ぼします。
 ”防災”は、それらの影響を防ぎ、軽減するために行う営みです。
 つまり、”防災”は、生活の全てに対して行います。
 発想を変えれば、”防災”は生活の全てを豊かに、そして、明るくするチャンスを持っているということです。

2018年6月28日木曜日

【大阪北部地震】緊急提言②・要配慮者の安否確認



こんにちは。
6月18日に発生した大阪北部地震を踏まえ、『危険なのは、ブロック塀だけではない!』というタイトルでブログを書きましたが、本日は第二弾です。


本日は、要配慮者の安否確認についてです。


要配慮者とは、災害時に特に配慮を要する方々のことで、高齢者や障害者、妊産婦や乳幼児、外国人などの方々が位置付けられています。


どうしても、一律な対応だけでは、様々な支援の網目からこぼれ落ちてしまうため、法律にも定義付けて対策を進めているのですが、残念ながら、過去の災害では、要配慮者こそが地域から孤立し、大変な思いをされる実態を繰り返してしまっているのです。


新聞報道によると、今回の大阪北部地震においても、要配慮者のうち、要介護度の高い高齢者や重度障害者の安否確認に大きな問題があったとされています。


災害対策基本法第49条の10では、要配慮者のうち、自力で避難行動をするのが難しい方々(=避難行動要支援者)について、各市区町村で名簿を整備することが義務付けられています。


そして、大阪の地震において、被災13市町のうち、


①名簿を基に安否確認をした:8市町
(大阪市、豊中市、守口市、茨木市、寝屋川市、四條畷市、交野市、島本町)
②名簿は使わず障害福祉事業所への連絡や独自の独居高齢者名簿などで安否を確認:2市
(高槻市、摂津市)
③安否確認すら実施せず:3市
吹田市、枚方市、箕面市)


という実態であったのに加え、数日かけても安否確認が終わっていない自治体が多くあります。


そもそもですが・・・


もう一度確認をしておくと、避難行動要支援者名簿というのは自力で避難行動するのが難しい方のリストです。


5名の方がこの地震で亡くなられていますが、5人目の方は自宅において、本やCDなどの下敷きになりながら亡くなっていたところを少し時間が経ってから発見されました。


一刻を争う避難=津波のみ、というイメージを持たれている方が多いのも事実なのですが、①火災の延焼、②家屋や家具の下敷き、③ガラスなどによる怪我、が起きているような状況で、数時間、数日とそのままにされてしまえば、助かる命が救えなくなってしまいます。


ですので、津波でなくとも、大地震発生時は速やかな安否確認が必要なんです。


そもそも、多くの自治体が、高齢者で言うと要介護度3以上とか、障害者手帳で言うと1級・2級程度というように、重度の方々だけを名簿化しているケースが多いのが現状です。


しかし、重度の方ほど、施設に入所されていたり、在宅で多くの福祉サービスを使っており、わざわざ名簿を整備しなくても、福祉や医療の関係者や民生委員さんなどは特に気にしているケースがほとんどでしょう。


改善策はまた別の機会で詳しく扱うことにしますが、現状の避難行動要支援者名簿の制度では、救えるはずの命が救えない可能性があまりにも高く、危機感を感じています。


ご縁あって、地元ではこの問題に関する改善に関わり始めたので、専門家の立場からきちんと提言していきたいと考えておりますが、全国的な改善がなされていくことを切に願っております。


(参考文献)
朝日新聞『「要支援者」名簿使用、8市町のみ 安否確認、3市は行わず 大阪北部地震』(平成30年6月22日)


平成30年6月28日

ジョージ防災研究所 代表 防災アドバイザー 小野修平
TEL:042-452-3193
FAX:042-452-3194
Mail:jyoji.bousai.labo@gmail.com

2018年6月25日月曜日

【報告】ふれあい碧「西東京市で起こる災害に備えよう!」



4月27日(金)に開催した地域住民向け防災講演会の様子を御報告いたします。


今回お伺いしたのは、西東京市の各小学校通学区域ごとにある、ふれあいのまちづくり住民懇談会(通称:ふれまち)の一つ、「ふれあい碧」(碧山小学校の通学区域)さんです。


毎月、様々な取り組みをされておりますが、今回は50名近くの住民さんが集まってくださり、『西東京市で起こる災害に備えよう!~誰も取り残されないために~』というテーマで防災講演会をいたしました!!






前半は、家庭での備えとして、トイレ編のお話をしましたが、この話が大好評で、「トイレは盲点だった」との感想がたくさんありました。


残念ながら、トイレの備えを行っている住民さんはかなり少なく、されている方々も2~3日程度で、到底、大規模災害時、ライフラインが止まった環境下を乗り越えることはできません。


今回もいつもの如く、格安で誰でもできるトイレ防災対策を伝授したところ、多くの方に共感をいただきました。






続いて、西東京市で大地震が起きたら…ということで、どのような被害が出るのかという話について、テーマ別にお話しました。


安易に考えていた方もいた方もいらっしゃったようですが、西東京市にも大きな地震が来る可能性があることを伝えたところ、驚かれていた方も多くいたのが印象的でした。






そして、最後に、災害時に取り残される傾向にある要配慮者の問題を取り上げました。


西東京市の各小学校の通学区域において、ふれあいのまちづくり事業が行われていることで、その繋がりが必ず、災害時に助け合いをする基盤の一つになると思います。


実態を伝えるとともに、必要な視点もお伝えし、今回の講座を締めくくりました。1時間にわたり、笑いもありながら、熱心に聞いてくださった皆様、お疲れ様でした。






この講座後、クラリネットの演奏を皆さんで聴き、真面目な時間のあとに、私も一緒に、とても楽しいひと時を過ごさせていただきました♪


平成30年6月25日

ジョージ防災研究所 代表 防災アドバイザー 小野修平
TEL:042-452-3193
FAX:042-452-3194
Mail:jyoji.bousai.labo@gmail.com

2018年6月22日金曜日

【大阪北部地震】緊急提言①・危険なのは、ブロック塀だけではない!



6月18日、月曜日の7時58分、
まさに通勤・通学時間帯に発生した大阪北部での地震。


まずは、犠牲になられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。


災害医療の世界では、3~4日目を超えると、内因性の疾患が増えてくると言われています。しっかりと食事や水分を摂り、トイレは我慢せず、ストレスは抱えないようにしていただき、時には弱音を吐きながら、決して無理はしすぎないでいただければと思います。


さて、地震発生当初から、様々な情報が飛び交い、何か情報発信をしても、埋もれてしまう可能性もあることから、必要な情報はあちこちで出されていましたので、3日間は沈黙を貫いてきましたが、この地震を受けて、いくつか全国に発信しなければならないと感じることがあるので、一つずつ整理をしながら、書いていきたいと思います。


まずは、まだ9歳の小学校4年生の女の子が、通学途中にブロック塀の下敷きになって、亡くなってしまったという悲しい事故について。


1.不適切な事前対策

この事故については、各種報道でも言われているとおり、現在の建築基準法上、違法だったとのことですので、これをそのままにしておいたことは、大問題です。


さらに、平成27年11月に、防災アドバイザーがこの学校で講演を行った際、講師は講演前に学校周辺も見て回り、ブロック塀の危険性を指摘したとのことです。


それを、学校長が教育委員会に連絡をしたのにも関わらず、コンクリートの専門家ではない職員が、劣化具合だけを棒で叩いて確認したのみ、との報道があります。


この防災アドバイザーの方は、この後もブロック塀のことが気になり、学校にメールをしたとのことですが、その後に適切な対策が講じられていれば、今回の悲惨な事故は起きていなかったかもしれません。


私も、学校や保育園など、子供達が通ってくる場所で講演をさせていただく際には、必ず、建物内だけでなく、早めに学校へ到着し、周辺を見て回るようにしています。


そして、気になった部分は、関係者の方々に伝えるようにしていますが、今までに指摘させていただいた部分が改善されているのかの確認までは出来ていないので、今回の事故を受け、確認をしなければならないと思っています。


2.街中の危険はブロック塀だけではない

この事故を受け、国は早々に対応に乗り出し、菅官房長官は、文部科学省に対し、全国の通学路の安全を確認するよう指示をしました。


そこで、早速全国の自治体では、通学路を行政職員が歩いて回り、中には危険なブロック塀を発見し、すぐに立ち入り禁止にした上で、撤去に動いたところの報道が次々へと出てきます。


しかし、実はブロック塀が地震で倒壊して死者が出たのは、今回が初めてではありません。


私が把握できた限りでも、1978年の宮城県沖地震、2005年の福岡沖地震、2018年の熊本地震など、これまでの災害でブロック塀の倒壊による多くの犠牲を出してきました。


今回、全国規模で一斉に点検に乗り出したことは大きな一歩ですが、何故これまでにやって来なかったのでしょう。


そして、それ以上に懸念していることは、街中の危険はブロック塀だけではない、ということです。


街中を歩いていると、家屋やビルなどの建物が倒壊してくることもありますし、電柱や電線、ガラス、看板、エアコンの室外機、屋根瓦、壁材、植木鉢、自動販売機、灯篭などなど、街中を見回せば、地震で倒れてくるもの、落ちてくるもの、移動してくるものがたくさんありますよね。


まずはブロック塀の危険だけでも排除されていけば、大きな一歩なのは確かなのですが、それ以外の危険に関しても見ておかなければ、同じ過ちを今後の災害で起こすことになります。


私個人としても、繋がりのある関係先にはブロック塀以外の危険についても提言をしてまいりたいと思いますが、今現在、緊急措置として行われているブロック塀の点検と併せて、他の部分で気になった部分については、対策を検討していただきたいと思います。


3.防災教育の充実の必要性

とはいえ、室内にせよ、屋外にせよ、危険を全て排除することは不可能です。


ですから、平常時になるべく危険を排除すると同時に、どういった危険があり、どのように身を守ったら助かる可能性が上がるのかを正しく理解しておくことが必要です。


しかし、その辺りまで子供に伝えている家庭はそれほど多くないのが実情ですし、学校においても、学校内での身の守り方が中心となってしまい、家庭や地域で発生した地震への対応の指導までは行われていない学校がほとんどでしょう。


私も、様々な学校での防災教育の実践をさせていただいており、家庭や地域における身の守り方も指導してきましたが、その重要性を改めて認識しました。


そもそも、1日のうちで子供が学校で過ごす時間は7~10時間程度ですし、土日祝日や長期休みも入れてしまえば、子供達が学校で過ごす時間の方が圧倒的に少ないのです。


いつも近くに大人がいるとは限りませんし、その大人だって適切な対応が取れない可能性もあります。


とはいえ、現状では学校は様々な教育を行わなければならず、命に関わる教育ができないのが実情です。


そこで、私などの人材にお声掛けいただき、代わりに防災教育をするような学校が多くあると思いますが、このような体制を続けていれば、根本的な解決にならないと思います。


私は、全ての学校で、系統的な防災教育が行われるべきですし、それができるように、教員養成課程や教職員研修での充実も、もっと図られるべきだと感じます。
(ちなみに、教員養成課程においては、災害を含む全ての学校安全について、2019年度から必修化になる予定です)


悲惨な事故が起きてから動き出すのでは遅いのですが、これをきっかけに、全国の防災教育が充実していくことを切に願うと同時に、私も気を引き締め直し、この仕事に臨みたいと思います。


平成30年6月22日

ジョージ防災研究所 代表 防災アドバイザー 小野修平
TEL:042-452-3193
FAX:042-452-3194
Mail:jyoji.bousai.labo@gmail.com

2018年6月21日木曜日

【報告】理研テクノプラント株式会社(社員研修)



ブログでの報告をだいぶ怠ってしまいましたが…
4月26日に企業様の社員研修を行いましたので、その模様を御紹介したいと思います。


今回お邪魔したのは、理研テクノプラント株式会社さん。
店舗や一般ビル、工場の電気・内装工事の企画・設計及び施工を行う企業さんです。
(http://www.rik-tp.co.jp/)


これまで会社として防災にはあまり力を入れられていなかったということで、今後はマニュアルづくりや備蓄をやっていくための導入となるような研修を行いたいとのことで、御依頼いただきました。


テーマは、「大規模地震発生時の初動対応を学ぶ」とし、まずは、災害が発生したその瞬間の初動対応として、ごくごく基本的な部分を話しながら、過去の災害で得られた教訓や、会社のある東久留米市で起こり得る被害などをお話しました。






社員は11名で、とてもアットホームな雰囲気のある会社ですが、社員さん個人の防災対策も大方不足気味。


そこで、まずは個人として必要な備えの方向性を提示していきつつ、会社としても何が必要なのかを考えていただく内容としました。


引き続き、マニュアルづくりやどんなものを備蓄したら良いかといったアドバイスをしてほしいということですので、今後も支援していきたいと思います。


ジョージ防災研究所代表 防災アドバイザー 小野修平