「防災は社会を明るくする!」
 ”災害”は、生活の全てに影響を及ぼします。
 ”防災”は、それらの影響を防ぎ、軽減するために行う営みです。
 つまり、”防災”は、生活の全てに対して行います。
 発想を変えれば、”防災”は生活の全てを豊かに、そして、明るくするチャンスを持っているということです。

2018年6月22日金曜日

【大阪北部地震】緊急提言①・危険なのは、ブロック塀だけではない!



6月18日、月曜日の7時58分、
まさに通勤・通学時間帯に発生した大阪北部での地震。


まずは、犠牲になられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。


災害医療の世界では、3~4日目を超えると、内因性の疾患が増えてくると言われています。しっかりと食事や水分を摂り、トイレは我慢せず、ストレスは抱えないようにしていただき、時には弱音を吐きながら、決して無理はしすぎないでいただければと思います。


さて、地震発生当初から、様々な情報が飛び交い、何か情報発信をしても、埋もれてしまう可能性もあることから、必要な情報はあちこちで出されていましたので、3日間は沈黙を貫いてきましたが、この地震を受けて、いくつか全国に発信しなければならないと感じることがあるので、一つずつ整理をしながら、書いていきたいと思います。


まずは、まだ9歳の小学校4年生の女の子が、通学途中にブロック塀の下敷きになって、亡くなってしまったという悲しい事故について。


1.不適切な事前対策

この事故については、各種報道でも言われているとおり、現在の建築基準法上、違法だったとのことですので、これをそのままにしておいたことは、大問題です。


さらに、平成27年11月に、防災アドバイザーがこの学校で講演を行った際、講師は講演前に学校周辺も見て回り、ブロック塀の危険性を指摘したとのことです。


それを、学校長が教育委員会に連絡をしたのにも関わらず、コンクリートの専門家ではない職員が、劣化具合だけを棒で叩いて確認したのみ、との報道があります。


この防災アドバイザーの方は、この後もブロック塀のことが気になり、学校にメールをしたとのことですが、その後に適切な対策が講じられていれば、今回の悲惨な事故は起きていなかったかもしれません。


私も、学校や保育園など、子供達が通ってくる場所で講演をさせていただく際には、必ず、建物内だけでなく、早めに学校へ到着し、周辺を見て回るようにしています。


そして、気になった部分は、関係者の方々に伝えるようにしていますが、今までに指摘させていただいた部分が改善されているのかの確認までは出来ていないので、今回の事故を受け、確認をしなければならないと思っています。


2.街中の危険はブロック塀だけではない

この事故を受け、国は早々に対応に乗り出し、菅官房長官は、文部科学省に対し、全国の通学路の安全を確認するよう指示をしました。


そこで、早速全国の自治体では、通学路を行政職員が歩いて回り、中には危険なブロック塀を発見し、すぐに立ち入り禁止にした上で、撤去に動いたところの報道が次々へと出てきます。


しかし、実はブロック塀が地震で倒壊して死者が出たのは、今回が初めてではありません。


私が把握できた限りでも、1978年の宮城県沖地震、2005年の福岡沖地震、2018年の熊本地震など、これまでの災害でブロック塀の倒壊による多くの犠牲を出してきました。


今回、全国規模で一斉に点検に乗り出したことは大きな一歩ですが、何故これまでにやって来なかったのでしょう。


そして、それ以上に懸念していることは、街中の危険はブロック塀だけではない、ということです。


街中を歩いていると、家屋やビルなどの建物が倒壊してくることもありますし、電柱や電線、ガラス、看板、エアコンの室外機、屋根瓦、壁材、植木鉢、自動販売機、灯篭などなど、街中を見回せば、地震で倒れてくるもの、落ちてくるもの、移動してくるものがたくさんありますよね。


まずはブロック塀の危険だけでも排除されていけば、大きな一歩なのは確かなのですが、それ以外の危険に関しても見ておかなければ、同じ過ちを今後の災害で起こすことになります。


私個人としても、繋がりのある関係先にはブロック塀以外の危険についても提言をしてまいりたいと思いますが、今現在、緊急措置として行われているブロック塀の点検と併せて、他の部分で気になった部分については、対策を検討していただきたいと思います。


3.防災教育の充実の必要性

とはいえ、室内にせよ、屋外にせよ、危険を全て排除することは不可能です。


ですから、平常時になるべく危険を排除すると同時に、どういった危険があり、どのように身を守ったら助かる可能性が上がるのかを正しく理解しておくことが必要です。


しかし、その辺りまで子供に伝えている家庭はそれほど多くないのが実情ですし、学校においても、学校内での身の守り方が中心となってしまい、家庭や地域で発生した地震への対応の指導までは行われていない学校がほとんどでしょう。


私も、様々な学校での防災教育の実践をさせていただいており、家庭や地域における身の守り方も指導してきましたが、その重要性を改めて認識しました。


そもそも、1日のうちで子供が学校で過ごす時間は7~10時間程度ですし、土日祝日や長期休みも入れてしまえば、子供達が学校で過ごす時間の方が圧倒的に少ないのです。


いつも近くに大人がいるとは限りませんし、その大人だって適切な対応が取れない可能性もあります。


とはいえ、現状では学校は様々な教育を行わなければならず、命に関わる教育ができないのが実情です。


そこで、私などの人材にお声掛けいただき、代わりに防災教育をするような学校が多くあると思いますが、このような体制を続けていれば、根本的な解決にならないと思います。


私は、全ての学校で、系統的な防災教育が行われるべきですし、それができるように、教員養成課程や教職員研修での充実も、もっと図られるべきだと感じます。
(ちなみに、教員養成課程においては、災害を含む全ての学校安全について、2019年度から必修化になる予定です)


悲惨な事故が起きてから動き出すのでは遅いのですが、これをきっかけに、全国の防災教育が充実していくことを切に願うと同時に、私も気を引き締め直し、この仕事に臨みたいと思います。


平成30年6月22日

ジョージ防災研究所 代表 防災アドバイザー 小野修平
TEL:042-452-3193
FAX:042-452-3194
Mail:jyoji.bousai.labo@gmail.com

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