「防災は社会を明るくする!」
 ”災害”は、生活の全てに影響を及ぼします。
 ”防災”は、それらの影響を防ぎ、軽減するために行う営みです。
 つまり、”防災”は、生活の全てに対して行います。
 発想を変えれば、”防災”は生活の全てを豊かに、そして、明るくするチャンスを持っているということです。

2015年12月26日土曜日

[企業防災シリーズ02]災害発生時の対応を支える三本柱とは!?



こんにちは。
防災アドバイザー企業防災コンサルタントの小野修平です!


今回は『企業防災』シリーズの第2弾です。


まだ前回の記事を読まれていない方は、まずはそちらの記事を
お読みいただけると、内容を理解し易いかと思います。


『[企業防災シリーズ01]企業防災は「BCP」が全てじゃない?』


***


さて、本日は、「災害発生時の対応を支える三本柱」について、
お話したいと思います!!


前回の記事では、東日本大震災後、
BCP(事業継続計画)が大きく注目されている一方で、
『BCP(事業継続計画)は企業防災の一分野でしかない』
ということをお伝えしました。


なぜ、ここを改めて強調するかというと、
災害発生時に事業継続だけを考えていると、会社や社員に
大きなダメージを与えてしまうからなのです!



さて、本日のテーマである「災害発生時の対応を支える三本柱」とは
次の3つです。


1)初動対応

2)事業継続

3)復旧復興


ということで、2)事業継続の前後には、1)初動対応と、3)復旧復興
あるということがお分かりいただけると思います。


***


災害発生時にどのような流れを辿るかを説明すると、
まず、1)初動対応として、地震ならば、揺れている間は身の安全を図ります。
そして、安否確認を実施したり、建物や設備の安全確認を行います。
また、火災が発生すれば初期消火をしたり、瓦礫などの下敷きになった人の
救助、応急手当、搬送をしなければいけません。さらに、ライフラインに
影響があれば、それに対する対応も実施する必要があります。


しかし、本来の2)事業継続の考え方には、1)初動対応の内容が
含まれていません。


2)事業継続を実施するための中核となるのが、BCP(事業継続計画)
ということであり、自社にとって重要となる事業・業務を絞り、そこに全資源を
投入して、会社の存続を目指していきます。


ですが、いくら2)事業継続の対策ばかりを充実させたとしても、1)初動対応
きちんとできなければ、2)事業継続に向けた行動が開始できません。


そもそも、2)事業継続は、自社にとって最も重要な事業・業務に絞って
対策を進め、災害発生時は、その事業・業務を中心に対応をしていくわけなので、
誤解を恐れずに言えば、それ以外の事業・業務の対策は後回しになりがちです。


しかし、最重要事業・業務とそれ以外の事業・業務とで、社員の命の重さに
違いがありますか?もちろん、答えはノーです。


2)事業継続だけに偏った対策を進めていると、全社員の命を守る防災対策が
後回しになる傾向があるため、1)初動対応がきちんと行えるような対策も
同時に進めていく必要があるのです。そうでなければ、2)事業継続を行う資源が
失われてしまうため、会社の存続を考えるのであれば、1)初動対応に対する
対策は急務だと言えるでしょう。


ですから、2)事業継続ばかりに偏り、1)初動対応の対策を疎かにできません!


***


また、3)復旧復興についてですが、これも後回しになっている企業が多いというか、
そもそも、その辺りは全く視野に入っていない企業が多いように思います。


しかし、2)事業継続の特徴を考えてみると、会社の存続に影響を与える
可能性が高い事業・業務に絞っているわけですが、それ以外の事業・業務だとしても、
いつまでも放っておいていいわけではありません。


もちろん、まずは最重要事業・業務に絞って対策を進めていくことは大切ですが、
現在の2)事業継続の考え方からすると、それ以外の事業・業務の対策は
あまり重視されていません。企業防災やBCP(事業継続)の書籍等を見ても、
その辺りを触れているものはほぼ無いと言っても過言ではないくらいなのです。


なので、現在は、2)事業継続を中心に対策を進めていくことは構いませんが、
対策が充実してきた段階で、3)復旧復興についても考えることができれば、
さらに強固な基盤が出来ていくと思います。


***


ここで、これまでの防災対策を振り返ってみます。


東日本大震災以前は、1)初動対応が中心の防災対策が行われてきました。


しかし、東日本大震災では、これまでの1)初動対応中心の防災対策だけでは
太刀打ちできないことが明らかになったのです。


直接的な被害を受けていなくても、サプライチェーンが被災したことにより、
間接的に影響を受け、業績悪化や倒産に追い込まれた企業も多くありました。
また、14時46分という多くの方が就業中の時間帯に発災したことも
大きな背景的要因であると考えられます。


そこで、2)事業継続の防災対策を実施しなければ、今後さらにますます
社会情勢が変化していくことが予想されている中で、会社と社員を守ることが
出来ないだろうと考えられるようになったのです。


しかし、ここで大きな落とし穴があったのです。


先程から言っているとおり、「災害発生時の対応を支える三本柱」には、
本来、1)初動対応2)事業継続3)復旧復興の考え方があります。


ですが、国を中心に出されているガイドラインには、簡単な説明がありつつも、
内容としては、2)事業継続が中心であり、また、セミナーや書籍でも、
2)事業継続がメインで扱われています。


1)初動対応が適切に行われなければ、2)事業継続3)復旧復興の対応が
出来なくなるのですから、1)初動対応も同時に進めておく必要があります。


また、最近言われている2)事業継続は、3)復旧復興の考えが抜け落ちているので、
3)復旧復興も視野に入れた2)事業継続が求められます。


※誤解が無いように申し上げておきますが、もちろん、1)初動対応や3)復旧復興も
視野に入れたセミナーを実施したり、書籍を書いていらっしゃる先輩方は
いらっしゃいます。


***


と、ここまで、企業防災には三本柱があり、このうち2)事業継続に偏っている
傾向があることを説明してきたので、不安を感じている方や、諦めかけている方も
いらっしゃるのではないかと推察しております。


「忙しい毎日の業務の中で、そんな難しい防災対策はできないよ…」という
会社様のために、次回の記事では解決の糸口をお伝えしたいと思います!


                企業防災コンサルタント(防災アドバイザー)  小野修平


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